詐欺事件(振り込め詐欺、投資詐欺など)
目次
※本件については、ご依頼のみならず、接見のみご依頼の場合であっても、依頼者の方の身元確認を厳重に行っております。ご家族等ご本人以外がご相談をされる場合、写真付き身分証明書をお忘れないようお願いをいたします。
※ご家族でない場合など、ご相談者の方と被疑者本人の関係によっては、ご依頼を受けられないことがありますが、ご了承ください。
※本人への接見時の伝言はお引き受けすることできない場合が多々あります。
特殊詐欺の基本知識
特殊詐欺とは
振り込め詐欺、オレオレ詐欺などの詐欺について、防犯を呼びかけるポスターをご覧になった方は多いと思います。このような「被害者に電話をかけるなどして対面することなく欺もうし,指定した預貯金口座へ振り込ませるなどの方法により,不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪」は、特殊詐欺と呼称されています。
勧誘されることの多い役割
特殊詐欺では、被害者に嘘の電話をかける「掛け子」、被害者から現金やキャッシュカード等の物を受け取る「受け子」、預金口座からお金を引き出す「出し子」といったような形で役割が設けられることが一般的です。これらの役割は、検挙(逮捕)のリスクが主犯格よりも高いためか、友人関係やインターネット等を通じ、詳細な説明をせず、アルバイトのように勧誘されることが多々あります。そのため、アルバイト感覚で関与してしまう方もいます。
実行犯以外での関与もありうる
特殊詐欺への関与は、前に述べたような実行犯だけではありません。例えば、特殊詐欺で用いられる携帯電話や通帳等は、犯人グループが第三者から目的を隠して買い取ったものであることもあります。そして、他人に譲渡する目的で携帯電話の契約をしたり、既に使っている携帯電話を譲渡することは、詐欺罪や携帯電話防止利用法違反として処罰される可能性があります。また、他人に譲渡する目的で預金口座を開設して通帳の交付を受けたり、預金通帳を譲渡することは、詐欺罪や犯罪収益移転防止法違反として処罰される可能性があります。
このように、特殊詐欺への関わり方は実行犯に限定されるものでなく、知らずのうちに関わってしまうリスクがあるものといえます。
よくあるご質問
Q:処罰された場合、どれくらい重くなるのでしょうか
特殊詐欺については、被害者から現金やカード類等をだまし取る行為については詐欺罪(刑法246条1項)が、だまし取ったカードを利用してATMで現金を引き出す行為については窃盗罪(刑法235条)が適用され、処罰される傾向にあります。
法律上、詐欺罪は10年以下の懲役、窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処するものと定められています。しかし、未遂でない特殊詐欺の場合、相当額の被害弁償を行わない限り、かけ子、受け子、出し子のような末端の実行犯であっても、有罪の場合は実刑判決(執行猶予なしの懲役刑)を下される傾向にあります。
Q:特殊詐欺だとは知らずに関わっていましたが、この場合も処罰されるのでしょうか
刑法は、過失犯を処罰することを定めた犯罪を除き、犯罪の成立には罪を犯す意思(故意)を必要としています。そして、詐欺罪や窃盗罪に過失犯を処罰する規定はありません。そのため、知らずに関与していた場合、知らなかったことの内容によっては、故意が認められないものとして処罰されないことになります。
ただし、最高裁判決の中には、特殊詐欺の被害品運搬役について、「詐欺に当たる可能性がある」との認識があった場合に故意を認めたものがあります。そのため、詐欺に関与していることを確信するまでに至っていなくても、有罪とされる可能性は十分にあります。また、仮に詐欺であることを知らなかったのが真実であり、そう話しているとしても、裁判所は、被疑者の話の内容(客観的な事情と一致しているか、不自然でないか等)、客観的事情(犯行に関与することになった経緯、関与行為の内容等)も考慮して故意の有無を判断するため、被疑者の話は信用できないとして、故意があると判断してしまう可能性もあります。そのため、早期に弁護士に依頼することは、信用されないような不利な調書を取られることを防ぐ、事故の言い分を裏付ける証拠を早い段階から集めることが期待できる点で、望ましいものであると考えられます。
Q:取調べで黙秘をしてしまうと、すぐに出られなくなってしまうのでしょうか
特殊詐欺事件は、捜査に時間がかかることが多いこと、共犯者が多数存在していること、被害者の自宅が犯人グループに把握されていることなどの事情から罪証隠滅の可能性が高いと考えられているためか、罪を認めているか否かを問わず、被疑者を勾留満期まで拘束することがほとんどのように見られます。少なくとも私の経験、認識している事件の限りでは、特殊詐欺事案で、勾留請求が認められなかった(逮捕から2,3日後くらいで釈放された)事件はありません。このような傾向から考えると、取調べで黙秘をしなかったからと言ってすぐに出られるとは言えないと考えられます。現在、逮捕後に1回だけ弁護士会の派遣する弁護士を無料で呼べる制度(当番弁護士制度)が整備されているため、取調べで話をするか否かについては、弁護士を呼び、助言を得てからの方がよいように思われます。
弁護活動のイメージ例
1.争いのない場合(自白事件)
基本的には、事件の経緯・経過や前科の有無等の事情を聞き取り、見通し(処罰の内容や示談が処分・処罰に与える影響等)についてお伝えをいたします。そのうえで、ご希望に応じて被害弁償金の調達手段や調達可能性について打ち合わせをさせていただき、適宜、被害者の方への弁償や示談ができるよう活動をいたします。
また、特殊詐欺については、他の共犯者の供述などから、関与していない詐欺についても逮捕や起訴の危険があるため、これに向けて取調べの対応を助言するなどの弁護活動を行います。
2.否認をしている場合(否認事件)
基本的には、事件の経緯・経過や前科の有無等の事情を聞き取り、見通しをお伝えする点は、認めている場合と大きく異なりません。
起訴前では、取調べへの対応方針(黙秘をすべきか否か、どのような書面への署名を拒絶すべきか否か)について打ち合わせを行い、ご助言をいたします。もっとも新たな展開により方針を変更する必要があることはあり得ます。特に逮捕事案の場合、取調時の捜査官の態度・言動等から、一度選択した方針をとり続けることに不安を覚える方も多くいらっしゃいます。そのため、こまめに接見を重ねて、適宜、被疑者の方の不安をケアし、方針継続の意思を確認したり、方針内容を調整いたします。また、先だって保全・確保すべき証拠がある場合には、その保全、収集活動を行います。
起訴された場合には、検察官が開示した証拠、請求を予定する証拠に応じて、裁判の準備を進めます。
ご料金
被疑者の認否等により、弁護士費用が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
捕まった方の認否や希望がわからない、とりあえずアドバイスだけでもしてほしいという場合には、3万3000円(税込。実費別)で初回接見(弁護士による面会)への出動もお引き受けしております。