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在留特別許可の取得

目次

在留特別許可取得の基本的知識

在留特別許可とは

在留特別許可とは、入管法24条各号で規定される退去強制事由に該当するため本来は退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると判断し、その裁量により与える在留許可です。
在留特別許可には、法文上、四つの類型(1.「永住許可を受けているとき」、2.「かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき」、3.「人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき」、4.「その他法務大臣が特別に在留を許可する事情があると認めるとき」)が定められており(入管法50条)、退去強制共生者と疑われる外国人(これを「容疑者」と言います)がこの四類型のいずれかに該当する場合、法務大臣は裁量的に在留を特別に許可することができます。

在留特別許可の取得手続

在留特別許可の判断は、通常、退去強制に向けた一連の手続の中で行われます。すなわち、入管は、容疑者に対して退去強制令書を発付する場合、当該容疑者の異議の申出等に応じて、入国審査官の違反審査、特別審理官の口頭審理、異議の申出に対する法務大臣の採決といった上限を三段階とする審理手続(三審制)を採用しています。在留特別許可は、容疑者の異議によって法務大臣の採決まで手続が進んだ場合において、異議の申出に理由がない場合であっても、審理に表れた事情に照らして、上記四類型に該当する場合に、裁量的に行われます。
在留特別許可を受けた場合、一般的に、法務大臣は、当該容疑者について、在留資格と在留期間を指定し、定めており(入管法50条2項)、これによって当該容疑者は正規滞在者となります。
なお、これらの手続をとる前の在留資格を持たない外国人が難民認定申請を行っている場合、在留特別許可の判断は当該難民認定申請手続の中で行われることになります(入管法62条の2の2第2項)。

在留特別許可の判断基準

入管は、在留特別許可について、退去強制対象者に対する例外的な恩恵的措置と捉え、その判断について法務大臣ら判断権者には自由裁量があるとの立場をとっています。また、裁判所も、在留特別許可不許可の採決・処分について、裁量権の逸脱・濫用がある場合に違法と判断し、法務大臣らの裁量を尊重する傾向にあります。
もっとも、入管は、在留特別許可の判断において、「特に考慮する積極要素」、「その他の積極要素」、「特に考慮する消極要素」、「その他の消極要素」といった考慮要素、「『在留特別許可方向』で検討する例」、「『退去方向』で検討する例」といった検討例を公表しています(在留特別許可に係るガイドライン)。また、一部の在留特別許可が認められた事例、認められなかった事例については、入管によって公表もされています。さらに、法律の規定に加えて、過去の事例から、在留特別許可される事例については一定の類型化も図られているところです。そして、裁判例上、これらのガイドライン上の考慮要素は裁判所も重視をする傾向にあるほか、過去の事例との均衡(平等)性も考慮が行われます。
したがって、在留特別許可を求める場合には、これらの類型、過去の事情、考慮要素等を踏まえて、主張をし、証拠を提出していく必要があります。

再審情願との違い

以上で述べた手続のほかに、在留特別許可の付与を求める手続として、再審情願というものがあります。再審情願は、在留特別許可が行われず、退去強制令書が発付された後に、在留特別許可を認めなかったことを含む裁決・処分等を取消し又は撤回し、在留特別許可を付与するよう求める請願をいいます。そのため、退去強制手続内において在留特別許可が認められなかった場合でも、在留特別許可を得ることが全く不可能となるわけではありません。
もっとも、再審情願は、上記手続と異なり入管法に明文の規定があるわけではなく、認められるハードルも極めて高い手続です。実務上、退去強制令書発付処分後に在留を特別に許可すべき事情が生じた場合に、当該事情を在留特別許可の判断で考慮させるためには有用であると言えますが、まずは退去強制手続内で在留特別許可が認められるよう善処すべきものと考えられます。

費用について

着手金(行政手続)

収容をされている外国人の場合27万5000円(税込)
(仮放免許可申請を含む)
収容を受けていない外国人の場合22万円(税込)

着手金(訴訟)

44万円(税込)

ただし、行政手続をご依頼されている方は、支払い済みの着手金を上記金額から差し引かせていただきます。

報酬金

在留特別許可が取得できた場合 44万円(税込)

弁護士に依頼した場合のメリット

1.考慮要素を踏まえて的確な審査を求めることが期待できる

在留特別許可は、上記のとおり、ガイドラインや過去の事例等から、その判断に際して積極的に考慮される要素・消極的に考慮される要素がある程度定まっています。また、在留特別許可の判断には、過去の事例との均衡・平等も考慮される傾向にあります。したがって、在留特別許可の付与を求めるのであれば、これらの類型、積極・消極要素の考慮の傾向、過去の事例等を踏まえて、的確に在留特別許可を認めるべき事情を主張し、それを裏付ける証拠を提出することが有用です。
入管事件を手掛ける弁護士に依頼をすることは、これらの事情を的確に主張し、証拠を提出することが期待できる点でメリットがあります。

2.弁護士が代理人として立ち会い、口頭審理を受けることができる

在留特別許可の判断において重要な手続として、退去強制手続中の口頭審理があります。口頭審理では、容疑者は、証拠の提出、証人の尋問を行い、(特別審理官の許可の下での)親族又は知人の立ち合わせることができます。もっとも、外国人であり、かつ、専門家でない容疑者が、何らの補助なくこれらの行為を的確に行うのは難しいことも多いと思われます。また、口頭審理では、容疑者に対する質問・その供述等が記載された調書が作成され、審理の判断材料とされますが、容疑者の供述が正確に日本語に翻訳され、調書が作成されたかを容疑者のみで判断するのも難しいことが多いと思われます。
弁護士は、口頭審理において容疑者の代理人として立ち会い、証拠の提出等の上記の行為を容疑者と同様に行うことができます。したがって、入管事件を手掛ける弁護士に依頼することは、口頭審理という重要な手続を最大限に生かすことが期待できる点でメリットがあります。

3.取消等訴訟の提起まで依頼できる

在留特別許可が不許可となった場合、この判断を争う手段として、当該在留特別許可不許可の採決又は処分の取消訴訟(出訴期間経過後の場合は無効確認訴訟)があります。これは、入管ではなく、裁判所に、在留特別許可の最終判断を求める手続です。
そして、訴訟については、代理人となることができるのは弁護士に限られ、家族・親族、保佐人(保護者・支援者)、行政書士の方は代理人となることはできません。
そのため、弁護士に依頼することは、在留特別許可の不許可を争う訴訟の提起という最終手段まで依頼し、ワンストップの支援を得られるという点でメリットがあります。

ご依頼の一般的流れ

1.ご相談

お電話又はLINEによりご予約をいただいたうえで、相談をさせていただきます。なお、出張相談の場合は相談料及び実費を頂戴いたします(初回はご家族・親族などに来所してご相談いただき(45分無料)、その後、出張相談をご依頼していただく形でも結構です。
なお、いずれの手続の途中であるかや今後の審理のスケジュールは、準備活動の検討に必要な情報ですので、退去強制手続に関して入管から交付された書類はすべてご持参のうえで、相談にいらっしゃってください。

2.ご依頼

ご相談時に示した見通し、方針、費用等についてご納得のうえ、依頼を希望される場合、委任契約書を作成し、契約をさせていただきます。
弁護士費用等をはじめとした契約内容について明確にご理解いただけるよう、原則として対面相談時に契約の内容をご説明いたします。そのため、勝手に事件を依頼したことになっている、同意していない弁護士費用を請求されるということはありませんので、ご安心ください。
なお、着手金のお支払いが確認できてから事件に着手をさせていただきます。

3.着手

基本的には入管のスケジュールを把握したうえで、それに向けて証拠の収集活動や口頭審理の準備等を行うことになります。
また、被収容者の方については、仮放免許可も速やかに申請できるよう、準備を進めてまいります。

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