雇用契約を否定する使用者への対応
目次
雇用契約であることを否定する使用者
雇用契約に基づいて仕事を行わせる場合、仕事を命じる原因となる契約の解消が難しくなる(解雇の規制)、超過時間の勤務に応じて対価を増額しなければならなくなる(残業代、割増賃金の支払い)、社会保険料を負担しなければならなくなる等、使用者は労働基準法を含めた様々な法律上の規制・負担を受けることになります。そのため、使用者の中には、このような規制・負担を回避する目的で、求人広告の内容や働かせ方の実態に背いて、雇用契約という名称を用いずに契約交わしたり、労働者に「雇用契約ではないから」などと説明して、残業代等の支払いを行わないことを正当であると主張することがあります。
「雇用契約」との名称がなくても雇用契約になる
雇用契約であるか否か、労働者であるか否かは、契約の名目(契約書の表題が「業務委託契約書」とされている場合等)によって決まるわけではありません。雇用契約に及ぼされる規制や負担を回避するため、使用者が交渉力等の力関係の非対等性を利用して不利な名目で契約をさせることもあり得るため、雇用契約であるか否か、労働者であるか否かは契約の実態から認定すべきものとされています。この実態は、主に、指揮監督下の労務提供、報酬の労務対価性という二点の有無・程度によって判断される傾向にあり、雇用保険・社会保険等加入の有無も決定要素ではありません。
費用について
仕事の原因となる契約の解消に関するトラブルの弁護士費用
解雇の例と同じ
報酬未払に関するトラブルの弁護士費用
賃金トラブル例と同じ
→その他の料金についてはこちら
弁護士に依頼した場合のメリット
1.多様な事情の中から有利な事情を見分け、的確な主張をすることが期待できる
雇用契約であるか否かは、特定の事情が存在すれば当然に雇用契約であることが肯定されるという単純なものではなく、仕事の条件、させ方等の多様な事情を総合的に考慮して判断されています。そのため、自分の場合において、どのような事情が雇用契約であるか否かについて有利に働くか不利に働くかを当たるかを判別し、的確に主張することは専門的な知見を必要とします。そこで、労働事件を扱う弁護士に依頼をすることにより、自分の仕事の状況から有利・不利な事情を判別し、的確に主張することが期待できます。
2.裁判、労働審判等の法的措置を見据えた対応を取ることができる
労働問題を争う法的手続として訴訟と労働審判が挙げられます。これらの手続は確定すれば法的拘束力が認められ、使用者は、労働契約上の地位(在職)を認める判決等であれば復職を、金銭の支払いを命じる判決であればその支払いをしなければならなくなります。そのため、使用者が交渉で譲歩をしない場合には、これらの法的手続を講じる必要が生じてきます。
そして、いずれの手続も本人のみで行うことは法律上可能ですが、一般的には弁護士に依頼をされていることがほとんどです。法的手続では、法律の内容を踏まえて、解雇の有効性等の結論に影響を与える事情を適切な証拠により的確に主張し、反論しなければなりませんが、労働者自身がこれを行うことは大きな負担となります。
そのため、弁護士に依頼することは、最終手段である法的措置を講じやすくなるために、相手方に対して不本意な譲歩をせざるを得ない場面を減らすことにつながりえます。
ご依頼の一般的流れ
1.ご相談
お電話又はLINEによりご予約をいただいたうえで、相談をさせていただきます。ご相談の際には、できる限り多くの資料をお持ちいただき、資料から確認できる事件の見通し(雇用契約に該当することの見通し、当たらないとした場合の方針等)
2.ご依頼
ご相談時に示した見通し、方針、費用等についてご納得のうえ、依頼を希望される場合、委任契約書を作成させていただきます。
弁護士費用等をはじめとした契約内容について明確にご理解いただけるよう、原則として対面相談時に契約の内容をご説明いたします。そのため、勝手に事件を依頼したことになっている、同意していない弁護士費用を請求されるということはありませんので、ご安心ください。
なお、着手金のお支払いが確認できてから事件に着手をさせていただきます。
3.着手
契約後、速やかに事件に着手をいたします。受任後の事件の進め方については、事案に応じて変わりますので、詳しくは他の事件類型のページをご覧ください。