各種損害賠償請求対応
このようなときにご相談ください
- 社員が会社の資金を横領した
- 退職した社員が会社の顧客や他の社員を引き抜いている
- 社員の退職後に不正が見つかったため、損害賠償や退職金の返還を求めたい
- 社員が退職した後に同じエリアで競業を行っている
目次
従業員・退職者に対する損害賠償請求の基礎知識
在職中の労働者に対する損害賠償請求の制限
法律上、損害を被った者は、損害を与えた者に対して損害賠償を求めることが可能であり、差押えや加害者に負う債務と相殺をするなどして回収を図ることがあり得ます。しかしながら、損害を被った者が使用者、与えた者が労働者である場合は、このような扱いはされないことがあります。
まず、労働者が与えた損害について、使用者はその全額について当然に倍書を認められるわけではありません。最高裁は、労働者の過失(ミス)により使用者が損害を被った場合でも、事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防や損失の分散についての使用者の配慮の程度といった諸般の事情を考慮して、信義則上相当な限度においてのみ、使用者は労働者に賠償を求めることができるとの解釈を採用しています。
給与からの天引き(相殺)禁止
仮に損害賠償を求める権利があるとしても、賃金と相殺をすることは労働基準法により禁じられています。そのため、労働者の過失により損害が発生したことを理由に、使用者が給与から損害額を天引き(相殺)するような扱いは認められません。
競業禁止について
従業員や元従業員が競業他社で働いたり、独立して事業を営んでいたりする場合、使用者が損害を受ける可能性があります。そのため、このような場合に、競業禁止義務があることを前提に、その違反を理由に損害賠償を請求することがありえます。
この点、在職中、特に勤務時間中の競業行為については、労働者が使用者に職務専念義務を負っていることに鑑み、就業規則等で明示的に禁止されていない場合であっても、原則として禁止義務が認められるものとされています。
他方、退職後の競業行為については、当然に禁止されていることにはならず、1.法令上禁止されているか(例えば、不正競争防止法では事業者から示された営業秘密を使用・開示する形での競業行為を禁止しています)、又は個別に競業禁止の合意を締結する必要があります。そして、個別の合意を締結した場合であっても、職業選択の自由という憲法上の権利を制限する性質があることから、退職時の労働者の地位・役職、禁止される競業行為の内容、禁止期間の長さ・場所的範囲、禁止の代替措置の有無・内容等を考慮して、合理的な範囲でのみ競業禁止の効力を認めています。
そのため、退職者との間で競業禁止の合意を締結する場合、無効とされないように内容に注意を払う必要があります。
退職金の返還について
退職者については、退職後に不支給事由となるような非違行為が判明したり、禁止される競業や秘密漏洩行為に及ばれることがあります。そして、このような場合に、既に退職金を支払い済みであるとすると、使用者としては退職金を支払うべきではなかったと考えて、退職金の返還を希望される方もいらっしゃると考えられます。
裁判所は、支給時点で退職金不支給事由が認められる場合、使用者がすでに支払った退職金の返還を請求することを否定していません。もっとも、退職金が賃金の後払い的性格を有していることに鑑み、懲戒解雇に相当するような非違行為であっても、当然に退職金全額の不支給事由となるわけではありません。そのため、退職金全額の返還を求める場合も、返還の根拠は、相当に悪質性の高いものである必要があります。
費用について
着手金
請求額の8.8%(税込)
※交渉の場合は最低16万5000円、訴訟の場合は最低44万円を頂戴いたします
※前段階の交渉・手続をご依頼されている場合、既払の着手金分、減額をいたします
報酬金
相手方から回収した金額の17.6%
※金銭請求以外も行う場合、ご契約時に事案に応じて加算する金額を決定いたします
→その他の料金についてはこちら
弁護士に依頼した場合のメリット
1.違法・不当な対応を回避することができる
上記のとおり、労働者の地位・賃金等については、法律によって強い保護が与えられています。そのため、従業員が一見甚だしい非違行為に及んだり、重大な損害を生じさせた場合に、使用者がその責任を追及しようとする場面で、意図せず、法律上違法・不当とされてしまうような措置を講じてしまう危険があります。
労働事件の経験ある弁護士であれば、損害を与えた労働者に対して、適法・正当な責任追及を図ることが期待でき、使用者がかえって損害を被るような事態を防ぐことが可能です。
2.具体的事情に即した適切な主張を行い、より大きな賠償を求めることが期待できる
労働者に対する損害賠償や退職金の減額・返還等の請求は、労働者が使用者に損害を与えた、非違行為に及んだというだけでは足りず、上記の項目で説明したような考慮事情を適切に主張しなければ達成できません。しかしながら、これらの考慮事情は漠然としており、具体的な事案において、どのような事実がこれらの考慮事情に該当するのかを判別し、的確に主張していくことは、とても大変な作業であると考えられます。
労働事件の経験ある弁護士であれば、これらの考慮事情について、具体的事案に即して適切に主張することが期待でき、相手方に対する請求を、依頼者に最大限有利な形で実現することが期待できます。
担当弁護士の強み
1.労使双方の労働事件に注力
担当弁護士は労使双方からの依頼を受け、かつ、解雇、未払賃金(残業代・賞与の請求含む)、損害賠償請求といった幅広い労働問題について。対応・解決の実績があります。そのため、労働者側の予想される反論等も踏まえ、正確な見通しを持って、適切に紛争の処理を進めることが期待できます。
2.見通し・方針の丁寧な説明、細かな進捗報告
適切な方針の選択、適当な和解条件の検討には、依頼者において、事件の見通し、進捗状況、考えられる方針を正確に理解することが重要であると考えられます。そこで、担当弁護士は、見通し・方針についての丁寧な説明、細かな進捗報告を心がけており、相談等での口頭での説明に加えて、メールや訴訟の審理日ごとに作成する報告書を通じて、ご依頼者の側において説明・報告内容を再確認することができるよう、また、容易に共有ができるよう努めております。
ご依頼の一般的流れ
1.ご相談
お電話又はLINEによりご予約をいただいたうえで、相談をさせていただきます。ご相談の際には、できる限り多くの資料をお持ちいただき、資料から確認できる事件の見通しについてお答えいたします。
2.ご依頼
ご相談時に示した見通し、方針、費用等についてご納得のうえ、依頼を希望される場合、委任契約書を作成させていただきます。
弁護士費用等をはじめとした契約内容について明確にご理解いただけるよう、原則として対面相談時に契約の内容をご説明いたします。そのため、勝手に事件を依頼したことになっている、同意していない弁護士費用を請求されるということはありませんので、ご安心ください。
なお、着手金のお支払いが確認できてから事件に着手をさせていただきます。
3.着手
契約後、速やかに事件に着手いたします。特に、既に資料がそろっている事案については、ご依頼の際に、相手方に対して請求書面を発送する見込み時期をお伝えし、依頼者の方が今後の進行に見通しを持ちやすいように尽力いたします。